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米国の利下げが利上げのように感じられる理由:円安と米国債下落の今後の観察方法

米国の利下げが利上げのように感じられる理由:円安と米国債下落の今後の観察方法

最新の米国の金利決定は多くの市場予想を満たす1回の利下げでしたが、9月の経済見通しでインフレ予想が大幅に引き上げられ、2025年の利下げ幅がわずか2回に制限される可能性があるため、米国の長期国債利回りが急上昇し、ドルもそれに伴って上昇しました。日本銀行は金利を変えず、日円は急激に下落し、5か月ぶりの安値に達しました。今後はどのように観察すればよいでしょうか?
結論:連邦準備制度による今回の利下げは非常に積極的な予防的措置のようで、2025年にはあまり降下の余地がないことから、米国債にとって一時的なプラス要因が無くなり、ドルにとっても一時的なマイナス要因が無くなったため、今の所米国債の下落とドルの上昇が引き起こされました。

図1は、利率決定後に連邦準備制度が発表した経済見通しを示しています。2024年の実質GDPが9月の予測から大幅に引き上げられ、2.5%になり、2025年の第4四半期GDPも2.1%に向上すると予測されています。これは、連邦準備制度が米国経済の実績に対して信頼を持っていることを示しており、失業率は2024年及び2025年のいずれも下方修正されていることから、雇用市場には重大な危機がないことを示唆しています。

経済が良好で雇用が安定している状況では、インフレが上昇するのは合理的な現象と言えます。したがって、2024年の第4四半期のPCE物価指数は9月の予想よりもわずか0.1ポイント上昇して2.4%になる見込みです。また、2025年第4四半期のPCE物価指数は基準が既に引き上げられた状況でさらに2.5%に上昇すると予測されています。総じて、2025年の米国は良好なGDPの成果を実現し、雇用市場のリスクが低く、インフレが徐々に上昇すると見込まれます。したがって、通常金利が上昇しないのは少し不自然であり、2025年末の基準金利は3.9%までわずかに減少すると予測されます。

図1:連邦準備制度経済予測。資料出典:Fed

金利決定を公表した後、株式、為替、債券市場に大きな変動がありましたが、12月20日に発表された11月の米国PCE物価指数は市場予想をやや下回り、年率はちょうど連邦準備制度の予測と同じ2.4%となり、コアPCE物価指数は2.8%となり、インフレ圧力が若干和らいだものの、2025年にわずか2回の利下げしかない予測には影響を与えませんでした。

図2は12月20日までの米国の金利先物から見た2025年の金利トレンドを示しています。今回の利下げ後、金利は4.25%から4.5%の範囲に達し、次回4.25%を下回るのは2025年4月の4.185%です。したがって、次回の利下げは3月19日が最も可能性が高く、1月には一時的に利下げのトレンドが停止し、次の利下げは第4四半期まで待たなければならない可能性があります。

図2:米国金利先物の暗示した2025年金利トレンド。資料出典:CME

このように利下げの道筋が大幅に縮小し、インフレが温まる中で、長期米国債は売却されやすくなり、指標となる米国10年国債利回りは12月19日に4.6%に接近しました。もしインフレがさらに高まると、再び利上げの声が上がる可能性があり、その場合は長期米国債利回りがさらに上昇することが予想されます。

もし投資家がすでに自分のポートフォリオに多くの国債を持っている場合、リスクを減らすためにシカゴマーカンタイル取引所(CME)の10年国債利回り先物(商品コード:10Y)を利用することを検討できます。図3では11月15日に達した高値4.49%と12月19日に達した高値4.59%が市場の状況に一致していることがわかります。

図3:10年国債利回り先物日足。資料期間:10/30〜12/20。資料出典:CME

日元に関しては、日本銀行が金利を変えない状況の中、日元は依然として弱保ちであり、近5か月の安値にまで貶値しています。日本政府も為替市場への介入を示唆しておらず、しばらくは弱含みの振る舞いを観察するのが良いでしょう。短期での取引を希望する投資家は、CMEが提供する円先物を標的とすることができます。

米国の金利変動や可能性の変化について最新の情報を得たい場合、シカゴマーカンタイル取引所(CME)が提供する無料分析ツール「FedWatch」を利用することをお勧めします。これにより投資家はリアルタイムで金利先物市場が将来の動向をどう見ているかを理解できます。